ちょっと時代おくれな社長の一言

ひとこと ~第九回~

いつごろのことか忘れましたが、30年ぐらい前の話です。

現場は高円寺だったと思いますが、その家は改築工事中で、お施主さんの家族も

住みながらの工事でした。2日に1回は私が顔を出しておりました。もちろん大工は

毎日出て仕事をしておりました。ある日、いつものように私が現場の様子を見に行

きますと、施主の奥さんが棚の位置を変更してほしいと言ってこられたので、小さな

変更は大工に直接話してください、そのほうが話が早いからと言いますと、その奥

さんは職人さんとはこわくて直接話ができないと真顔でおっしゃいました。

当時の職人は、ニッカボッカに地下足袋、腹巻のうえに半天が普通でした。その奥

さんは職人がイコール「やくざ」と思っていたようです。それで話しかけられないと

おっしゃっていました。それには、思い当たる節があります。当時の東映のやくざ

映画が関係していると思いました。当時の映画のストーリーは決まっていてやくざ

が牛耳っている町に、石原裕次郎か小林旭ふんする流れ者のヒーローが帰って

きて、やくざをやっつけ、めでたしめでたしで終わりと言うものでした。その時の

やくざの姿が職人と同じいでたちでトラックで乗り付けて、木刀を振り回して暴れ

回るというものでした。前述の奥さんは、若いころその映画を見ていて思い出し

たのだと思います。その後、よく説明して誤解を解いていただきました。笑・・・・・

 

人間思い込みはよくありますが、こわいですねーーー

 

注   やくざ:博打  博徒  侠客

         サイコロまたは花札での賭け事を生業とする者

         9がカブと言って一番よい、0がブタと言ってだめな数、そこで

         8と9と3を足すと0になり、だめな者を8・9・3(やくざ)といった

         「三田村鳶魚 著 より」

 

平成26年6月                        ~つづく~

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